管洋志さん(写真提供:朝日新聞社)
管洋志さん(写真提供:朝日新聞社)
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写真家の管洋志(すが・ひろし)さんが、4月10日、大腸がんのため死去した。67歳だった。葬儀は親族のみで営まれる。喪主は妻の真理子(まりこ)さん。お別れの会が後日開かれる予定。

 1945年福岡県福岡市の生まれ。博多祇園山笠とともに育つ。日本大学芸術学部写真学科の学生時代、故・悠玄亭玉介の運転手をしながら、芸伎界に働く幇間、芸者、女将たちの人間模様をドキュメントし、卒業制作として発表した。

 アジアへの旅は69年から始まる。各地で出会ったアジアの人々の生き様に触れ、「人間写真」を撮ることを目指した。また全国60ヵ所以上のストリップ劇場の楽屋を訪問。ライトマンをしながら、踊り子たちの舞台裏を撮影し「花のヴィーナス86人衆」として発表。以降、アジアと日本を往復しながら旺盛な活動を続ける。日本とアジアの生活文化と信仰を背景に、作品づくりを続けた。

 1987年に『バリ・超夢幻界』で第6回土門拳賞を受賞。1998年『ミャンマー黄金』で第14回東川賞国内作家賞。作品集に、『魔界・天界・不思議界・バリ』『博多祇園山笠』『大日光』『バリ島大百科』『メコン4525km』『アウト オブ ネパール』『アジアに生きる』『「奄美」シマに生きて』『盲学校の23人が撮った!』『聞こえるかい森の声』などがある。

 個展、グループ展多数。ニッコールクラブ顧問。2007年から日本写真家協会理事。同協会の企画写真展「日本の子ども60年」(2005年)、「生きる-東日本大震災から一年」(2012年)の実行委員長を務める。盲学校の子どもたちに写真の楽しさを教え、写真展を開くなどの活動も続けた。

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