(撮影/小山幸佑)
(撮影/小山幸佑)
差額ベッド代を請求してはいけない条件。※患者の同意があれば、②③の場合も請求できる。(週刊朝日 2018年7月20日号より)
差額ベッド代を請求してはいけない条件。※患者の同意があれば、②③の場合も請求できる。(週刊朝日 2018年7月20日号より)
覚えておきたい病院でかかる料金(週刊朝日 2018年7月20日号より)
覚えておきたい病院でかかる料金(週刊朝日 2018年7月20日号より)

 隣の店のキャベツが50円安いと知ったら、どうしますか? 「そっちを買います」。そうでしょう。では、病院で支払う医療費は、きちんと確認していますか? 医療費は“値札”なしの世界。「知らない間に取られていた!」と嘆く前に、覚えておいて損しない「医療費の節約法」教えます。

【画像】知っておきたい!差額ベッド代を請求してはいけない条件とは?

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 東京都在住の薄井京子さん(仮名・42歳)は、持病があった。定期的に自宅近くの病院に通っていたが、ある日次回の予約をしようとしたら、

「木曜日でしたら待ち時間が短いですよ」

 と言われた。それは助かると予約を入れて病院へ。診察はいつもどおりだったが、会計をしてみると「ん?いつもよりも高い」。明細書をよく見ると「自費」の欄に500円の文字。これは一体、何の料金なのか。

 実はこれ、通常の“予約”とは違うのだ。待ち時間が30分以内と短くて、診療時間が10分以上かかるなどの条件を満たす場合、自費(保険外診療)扱いで料金を請求できる。すべての病院が請求しているわけではないが、制度上は請求可能だ。

 このように医療費には、「知らない間に取られている料金」がある。

「今回のケースも、予約の際に事前に教えてもらっていれば疑問は抱かなかったはず。病院の説明不足や患者の理解不足で齟齬(そご)が生まれると、トラブルになります。医療費のしくみは複雑ですが、まずは病院で発行される領収書をきちんと見ることから始めましょう」

 こう話すのは、近著に『賢い患者』がある、認定NPO法人「ささえあい医療人権センターCOML(コムル)」理事長の山口育子さん。同法人は1990年から医療に関する患者の電話相談を始め、これまで約6万件の相談を受けてきた。

 相談を始めた当初、お金に関する相談はほぼ皆無だったが、医療費の自己負担が2割になった97年ごろから増え始め、現在では約10%が医療費に関する相談だ。

●差額ベッド代は慎重に
 こうした相談の中で約半数を占めるのが、入院時の「差額ベッド代」だ。差額ベッド代とは、1部屋4床以下の特別な環境の病室に入院したときにかかる部屋代のこと。予約診療と同じく、保険外のため病院が金額を決めることができる。昨年の厚生労働省の報告によると、平均額は1日約6千円で最高額は1日37万8千円。数日でも高額になり得るため、入院後の請求に苦しむ患者も多い。

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