知っておきたいのは、このベッド代には、病院側が請求してはいけない場合があるということ。一つ目が【1】「同意書で患者の同意がとれていない」場合。そして感染症を防ぎたいなどの【2】「病院側の都合」や、患者の病状が重篤である場合など【3】「治療上の必要性がある」ときだ。医療費に詳しいファイナンシャルプランナーの黒田尚子さんは、こう話す。
「払わなくてはいけないのは、自分で『入りたい』と患者側が意思を示したときだけなのです」
今年3月、厚労省は【2】の病院側の都合について、新たに具体例を明示した。「他の部屋が満床」という理由で差額ベッド代がかかる部屋に入室させたときは、請求してはいけないというものだ。
入院時に「個室しか空いていない」と言われても、慌てて同意書にサインせず、しっかり説明を求めたい。【2】や【3】の場合でも、患者の同意書があれば請求は認められてしまう。「個室をできるだけ埋めたい」というのが病院側のホンネなのだ。
「入る気がなければ、『大部屋の空きを待ちます』など、はっきりと伝えること。差額ベッド代を請求されたとき、事前に意思を示していなければ『入りたいと言っていません』と伝え、計算をし直してもらった例もあります」(黒田さん)
●診療時間内でも割増料金
差額ベッド代以外にも入院時のオムツやパジャマなどは、保険外の実費になる。「全く使ってないのに毎日オムツを積み上げられ、何万円も請求された」というケースもある。身の回りの生活用品は、自分で用意したほうが安い。事前に持ち込みの可否を確認しよう。
医療費は、意外なものに割増料金がかかっていることがある。病院が決めた診療時間外に受け付けをした場合にかかる「時間外加算」や、「深夜加算」は知っている人も多いだろう。
しかしこれらの加算とは別に、病院が標榜する診療時間“内”でも発生する割増料金がある。平日は8時前と18時以降、土曜日は8時前と12時以降の受け付けならば500円(3割負担で150円)が加算されるのだ。逆に、これらの時間帯を避ければ節約になる。