「扶養親族等申告書」を巡る問題で謝罪する日本年金機構の水島藤一郎理事長(右から2人目) (c)朝日新聞社
「扶養親族等申告書」を巡る問題で謝罪する日本年金機構の水島藤一郎理事長(右から2人目) (c)朝日新聞社
社会保険労務士の柴田友都氏
社会保険労務士の柴田友都氏

 老後の頼りになるはずの年金。いくらもらえるのか計算済みの人も多いだろうが、やり方次第でもっと増やせる。保険料が未納でも、後払いすれば将来得する。探せば、埋もれた年金も見つかるかもしれない。さあ、「発掘大作戦」を始めよう。

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 学生だろうがフリーターだろうが無職だろうが、基本的には20歳の時点で国民年金に強制加入させられる。会社員らが入る厚生年金に移らなければ、60歳まで保険料を自分で払い続けるのが決まりだ。でも実際には一定期間、支払っていない人も多い。

 当然ながら、保険料が未納だと、その分もらえる年金は少なくなる。20歳から60歳まで40年間全額を納めた人は、65歳から年77万9300円(今年4月時点)の満額をもらえる。仮に未納期間が1カ月あれば、年額で1624円減る。1年未納なら年額で2万円ほど減る計算だ。

 本来、未払いから2年たつと保険料をさかのぼって納めることはできない。だが今は、「過去5年以内」の未納分を後納できる制度がある。これは今年9月30日までの救済措置。期限が迫っているので、すぐに確認しよう。

 該当する可能性があるのは、例えばこんな人たちだ。(1)60歳を前に会社を辞めた後、国民年金の保険料を支払っていない人(2)経済的な事情で一時期、支払いが滞った自営業者(3)学生時代に支払っていなかった若者──。

(3)のケースでは、大学生の保険料の支払いを最大10年間猶予する「学生納付特例制度」を申請せずに、放置したままの人もいる。その場合、9月末を過ぎると、やはり2年を超えた分は後納できなくなるので要注意だ。

 国民年金の保険料は現在1カ月約1万6千円。それだけ払って未納期間を1カ月減らしても、増えるのは年額1624円。負担に思うかもしれないが、年金は生きていれば一生もらえる。65歳になり年金をもらい始めてから10年もすればもとがとれる。確定申告すれば、保険料が控除され税金が戻ってくるので、実際はもっとお得だ。

 5年以上前の未納期間がある人も、すぐに諦めてはいけない。国民年金には、60歳以降に任意加入し、年金額を増やせる制度があるのだ。これから60歳になる人で未納期間がある人は任意加入して、満額を目指そう。

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