うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や3歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた”なっちゃん流教育論”をお届けします。
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2020年でセンター試験が廃止され、次年から大学入学共通テストに変わります。最も大きな変更点は、選択問題だけでなく、記述問題が出題されるというところです。記述問題は「自分の力で解答を導き出し、それを頭の中で整理して書く」論理的な能力が必要となります。採点面では、記述問題で公平に点をつけるのは難しいため、今まではすべて大学入試センター内で内密に行われていたところに、なんと民間企業も入れてくるとのこと。文部科学省が今までの「詰め込み丸暗記」な勉強から、今後は本格的に「考える力をつける」勉強へ移行させようと意気込んでいるのがわかります。
しかし、周囲にこの話をふっても、これといって「学校がこれまでと異なった授業方法に切り替わった」という話を聞きません。つまり、文部科学省が目指している方向に、実際に勉強を教えている学校側が対応しだしたとはまだまだ言い難い状況のようです。映画「踊る大捜査線」の「事件は会議室で起きているんじゃない。現場で起きているんだ」というせりふが流行しましたが、机上で目指そうと決めた方向と、実践している現場は、しばしばズレが起きるものです。
とはいえ、大学入学共通テストを受ける受験者の人数や、受験者が受ける大学の難易度が広範囲であること、個人個人でまったく異なる答案を民間企業が介入して平等に採点しなければならないという難しさを考えると、論理力を問う「記述問題」は、並はずれて複雑なものを出してくるとは思えません。今後はどうなってくるかはわかりませんが、初期の段階では「試してみよう」という気持ちがあるでしょうから、そこまで難解な問題は出題されないでしょう。