6月12日に行われたパラグアイとの親善試合は、4-2で大勝した。2得点を決めた乾と抱き合って喜ぶ控えの選手たち。本番でもこうした姿が見られるか(c)朝日新聞社
6月12日に行われたパラグアイとの親善試合は、4-2で大勝した。2得点を決めた乾と抱き合って喜ぶ控えの選手たち。本番でもこうした姿が見られるか(c)朝日新聞社
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 ワールドカップ(W杯)ロシア大会終了まで7回にわたってお届けする、スポーツライター・金子達仁さんのサッカーコラム。第2回は「自分たちのサッカー」について。

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 この号(週刊朝日本誌)が店頭に並ぶ6月19日、すでにワールドカップは始まり、日本はコロンビアとの初戦を迎えている。土壇場も土壇場、ロシア入り直前のパラグアイ戦でようやく希望の見える戦いをしてくれた日本代表が、日本中を沸き返らせてくれていることを祈ろう。

 さて、今回のワールドカップがどんな結果に終わろうとも、大会直前に監督を更迭した是非は、当分の間論争の種となっていくだろう。代えたからこうなった、いや、代えなかったらこうだった……という類の論争は、世界中のサッカーファンの大好物でもある。

 わたしの中の答えは決まっている。

 代えて、よかった。

 たとえロシアでの戦いが3戦全敗、得点0の失点10で終わったとしても、わたしは、ハリルホジッチのチームで3戦全勝するよりもよかった、と思っている。

 お断りするまでもないが、ハリルさんに個人的に恨みがあるわけではまったくない。ただ、わたしの目には、彼の指向したサッカーが、日本がここ数年続けてきたものを断絶させるものに見えたからである。

 サッカーにあまり興味のない方でも、カテナチオというイタリア語や、それが「閂」を意味し、ひいてはイタリア・サッカーの堅い守りを表していることはご存じかもしれない。

 ではなぜ、カテナチオはイタリアの代名詞となったのか。

 彼らが、その伝統を守り続けたからである。

 攻撃的なサッカーと守備的なサッカー。ファンやマスコミの受けがいいのがどちらかは言うまでもない。けれども、半世紀以上前にイタリアで編み出され、彼らに国際的な成功をもたらした守備戦術は、どれほど時代が変わり、戦術が変わっても、イタリア人のメンタリティに強い影響を残し続けた。

「いろんな国の選手とやったけど、イタリア人のディフェンスだけは、ちょっと違うんですよね。最後の最後、一番危ないところはキュッと締めてくるっていうか」

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