
米朝首脳会談の次はいよいよ日朝首脳会談なのか?米国と北朝鮮による史上初の首脳会談を終え、日本と北朝鮮を巡る動きが活発化している。
安倍晋三首相は6月16日、日本テレビ系列の番組に出演し、北朝鮮が核兵器を廃棄する際、必要な費用を日本が負担する可能性があることを示唆した。
安倍首相は北朝鮮の非核化に関する費用について「日本が国際原子力機関(IAEA)の査察にかかる費用を負担するのは当然」と語り、核兵器の廃棄の費用負担についてもは「国際社会で話し合う。査察を含め非核化で(日本も)利益を得るので、考えていく」などと述べた。
6月12日の米朝首脳会談の際、北朝鮮の金正恩労働党委員長がトランプ米大統領に、安倍首相との対話に「オープンな姿勢」であると示したことを受け、さっそく動き出した格好だ。
これまで硬直化していた日朝関係が、一気に改善するのか。拉致問題は解決するのだろうか。
ただ、拉致問題解決を手柄にしたい安倍首相の目論見通りにいくかと言えば、道は険しいという。2014年5月、北朝鮮が日本人の拉致被害者の再調査を約束した「日朝ストックホルム合意」は、その後まったく成果をあげていない。北朝鮮問題に詳しい東京新聞論説委員の五味洋治氏は、安倍首相は重大な選択をしないといけないと指摘する。
「その後、政府は北朝鮮側の報告書を秘密裏に目にしたと言われています。その内容は、拉致被害者全員の帰国を目指す日本政府にとって、とても公表できるものではなかった。突っぱねると、北朝鮮側も『これ以上どうすればいいんだ』と態度を硬化させたそうです。安倍首相は結局、この再調査の結果を認めざるを得ないのではないでしょうか。最近、官邸筋から『苦しく難しい選択を迫られる』という声が聞かれた」
北朝鮮との交渉が大きく動いていた小泉純一郎政権当時、大飢饉で苦境に陥っていた北朝鮮は、日本しか頼らざるを得ない状況で、日本が主導して進めることができた。