「しかし、今の北朝鮮の金正恩体制は国内で盤石になり、韓国、中国、ロシア、そして米国との関係が良好です。日本に頼らなくても大丈夫なのです」(五味氏)
この状況では、安倍首相が「拉致被害者の全員帰還なしに国交正常化はありえない」と突っぱねても事態が前進するとも思えないという。
一方で、金委員長がトランプ大統領を通して発信したように、安倍首相に秋波を送っているのは間違いない。安倍首相の決断次第では、会談や拉致問題を含め、事態が進む可能性が出ているのだ。
五味氏は会談の実現は十分あり得るとみている。
「特に北朝鮮は建国70周年の節目の年です。こういう区切りの年では、北朝鮮は大きな事をしたがります。9月9日の建国記念日までに、早ければ8月には大きな動きがあるのではないでしょうか」
トランプ大統領頼りだった北朝鮮外交は今後、安倍首相自身の手に大きく委ねられることになる。果たして安倍首相は手腕を発揮できるか。大きな山場を向かえることになった。(本誌・大塚淳史)
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