帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「死を生きる」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
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イメージは星の王子さま?(※写真はイメージ)
イメージは星の王子さま?(※写真はイメージ)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「凜として老いる」。

*  *  *

【ポイント】
(1)死ぬまでボケないために凜として老いる
(2)凜として老いるためには歩き方が大事
(3)背筋を伸ばしてリズミカルに歩こう

 死ぬまでボケないということを考えたときに、私が思い浮かべるのは「凜として老いる」という言葉です。この言葉が思い浮かんだのは、94歳で亡くなった佐藤初女(はつめ)さんと同席したときでした。

 青森で「森のイスキア」を主宰されていた初女さんをご存知でしょうか。「森のイスキア」は悩みを抱えた人などを受け入れる癒やしの場でした。そこで出される初女さんのおむすびやぬか漬けで励まされた人は数えきれません。

 初女さんとのお付き合いはずいぶん長くて、そのなかで私が「森のイスキア」をお訪ねしたり、初女さんが私の病院にみえたりしていました。また初女さんは毎年、埼玉県川越市で講演会をされたので、懇親会でお会いできるのを楽しみにしていました。いつも並んで座って酒席を共にするのですが、初女さんは東北の女性らしく熱燗。私はウイスキーか焼酎のロック。飲むものは違っても、互いに酒好きであることは手に取るようにわかりました。

 もうだいぶ前になりますが、初女さんが90歳を超えたと聞いて、急に不安になったことがありました。初女さん、認知症は大丈夫だろうかと気になりだしたのです。その年の懇親会は私が会場に先に行って、初女さんをお待ちしました。しばらくして初女さんが部屋に入って来ました。その姿を一目見て、あっ、大丈夫だと思いました。それと同時に私の右上の中空に「凜として老いる」という文字が墨痕淋漓(ぼっこんりんり)とばかりに浮かんで来たのです。  

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