首都圏では電車の相互乗り入れが盛んに行われていてる(※写真はイメージ)
首都圏では電車の相互乗り入れが盛んに行われていてる(※写真はイメージ)
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 SNSで「売文で糊口をしのぐ大センセイ」と呼ばれるノンフィクション作家・山田清機の『週刊朝日』連載、『大センセイの大魂嘆(だいこんたん)!』。今回のテーマは「武蔵小山トラップ」

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 近頃、首都圏では電車の相互乗り入れが盛んに行われていて、正直なところ、いったいどの電車に乗ればいいのかわからないことが多い。なかでも最もフクザツ怪奇なのが、東急電鉄の目黒線である。

 目黒線は、横浜の日吉駅と東京の目黒駅を結ぶ路線だ。だけど、日吉駅は東急東横線の駅でもあり、田園調布駅まではどちらの電車に乗っても通る駅は変わらない。

 田園調布を過ぎると分岐して、東横線は渋谷方面へ、目黒線は目黒方面へと向かうから、目黒方面に行く人は田園調布を出発する時点で目黒線に乗っていなくてはならないわけだが、では、目黒線に乗ってさえいれば安泰なのかといえば、そうではないのだ。

 なぜなら目黒線には、

(1)本当は東京メトロ南北線である目黒線

(2)本当は都営三田線である目黒線

 という二種類の電車が走っているからである。

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山田清機

山田清機

山田清機(やまだ・せいき)/ノンフィクション作家。1963年生まれ。早稲田大学卒業。鉄鋼メーカー、出版社勤務を経て独立。著書に『東京タクシードライバー』(第13回新潮ドキュメント賞候補)、『東京湾岸畸人伝』。SNSでは「売文で糊口をしのぐ大センセイ」と呼ばれている

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