藤山さんは今はやりのIT関連製品も挙げる。話しかけて操作するAIスピーカーは、家の照明やエアコン、テレビなど対応している機器がないと、便利さを十分実感できないという。

「AIスピーカーに対応した機器はまだ多くありません。結果的に音楽を聴くためだけのものになってしまう。日本人は恥ずかしがり屋なので、スピーカーに話しかけることにも抵抗がある」

 バーチャルリアリティー(VR)を体験できるVRヘッドセットはゲームなどにソフトが限られているため、今のところ万人受けはしなさそうだ。

 ただ、こうしたIT関連製品は性能の向上や低価格化が進んでいる。今は使いづらくても、数年後には各家庭に浸透している可能性がある。

 リクルート住まいカンパニーが運営する不動産情報サイト「SUUMO」の編集部は、家電に関するアンケートを2016年にした。「買ったけど使っていない、もしくは無駄になってしまっている家電」について聞くと、前のページのような結果になった。SUUMO編集長の池本洋一さんはこう解説する。

「1位のミキサーは誰もが一度は買いたいと思う製品ですが、実際買ってみると『音がうるさい』『洗浄やメンテナンスが面倒』などと感じて結局は使わなくなる。2位の美容家電は、きれいになりたいと購入したものの、『子育てで忙しくて使う暇がない』という声がありました」

 前出の藤山さんが挙げる製品と美容や健康、食品関係の製品が共通している。こうした分野の製品は、買う前のイメージと実際の使用感に差が出やすいようだ。

 本誌でも4月から5月にかけて、ネットを通じて「買ってみたけど使っていない家電、期待はずれだった家電は?」というアンケートを実施。約230人が回答してくれた。

 多い順に並べると、ミキサー、マッサージ機、フードプロセッサー、たこ焼き器、布団乾燥機となった。利用者として率直な声もいろいろあった。

 通信販売などでもおなじみのフードプロセッサーは、こういった感じだ。

「あれこれと違う種類の刃があり、使用目的に合わせて付け替えるのがわずらわしい。使った後の掃除も面倒で場所もとる」(40歳女性)

 マッサージ機についてはこんな切ない声もあった。

「娘に肩をたたいてもらえないから、肩たたき器を購入した。使ってみたところ機械は重いし、強さも調整できない。自分で肩をたたいたほうがマシだった」(52歳女性)

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