それにしても、何と柳瀬氏は、官邸で加計関係者と3回も面会しているのである。しかも、そのうちの1回は1時間半も会っているのだ。どう考えても異例中の異例であり、特別待遇である。首相秘書官が、勝手にこのようなことができるはずがない。しかも、そのことをまったく首相に報告していないとは、信用せよというのが無理だ。

 かつて橋本龍太郎首相の秘書官を務めた江田憲司議員は「秘書官としては、首相に報告することが責務であり、それを怠るほど柳瀬氏が非常識であるはずがない」と柳瀬氏を問い詰め、柳瀬氏は反論する言葉を持っていなかった。

 この参考人としての答弁を見て、国民の誰もが虚言だと強く感じたはずである。だが、私はここまで国民の不信を買いながら“虚言”を続けなければならなかった柳瀬氏が気の毒でならない。

 なぜ、柳瀬氏は自分の人格を犠牲にしてまで“虚言”を続けたのか。それは安倍首相を守るためである。安倍首相は、自分が加計学園の獣医学部が認可を申請していることを知ったのは、すべてが落着した2017年1月20日のことだ、と国会で答えている。もしも柳瀬氏が、首相に報告していたと答えたら、安倍首相はとんでもないウソをついていたということになり、首相の座が危うくなる。わが身を守るために、柳瀬氏をこのような無茶苦茶な状況に追い込んでいることを、安倍首相はどう感じているのか。あまりにも無神経なのではないか。

週刊朝日 2018年5月25日号

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