柳瀬元首相秘書官の参考人招致について、ジャーナリストの田原総一朗氏が「いかにも官僚的な弁明」と言いつつ、安倍首相を批判する。
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柳瀬唯夫元首相秘書官が5月10日の衆参両院の予算委員会に参考人として出席し、「加計学園の方、その関係者の方と面会いたしました」と認めた。昨年7月に国会招致されたときから、柳瀬氏は一貫して「面会の記憶はない」と繰り返してきた。それを一転して「面会した」と認めたのだ。
自民党の後藤茂之議員が「どうして今まで話をしなかったのか」と問うと、「これまでは今治市や愛媛県の職員との面会について聞かれていたからだ」と弁明した。加計学園の幹部から、柳瀬氏に面会したいとの申し入れがあって会ったが、その後ろに今治市や愛媛県の職員たちがいたとは気づかなかったというのである。何とも説得力のない弁明だが、いかにも官僚的な弁明だといえる。
しかし、少なくともこの段階で柳瀬氏は、加計学園が今治市での獣医学部新設を政府に申請していることははっきり認識したことになる。国家戦略特区諮問会議で、どの大学を認可するかが問題になっていることは、当然、首相秘書官として柳瀬氏は承知していたはずである。
そんな最中に、加計学園の幹部たちと面会するとは尋常ならぬことである。当然ながら、加計側は申請を認可してほしいと頼みに来たのであり、彼らに会うということは加計側に期待を持たせることになる。そんな尋常ならぬことを、首相秘書官が手前勝手にやるとは思えない。もっといえば、やってはならないことだ。
だが、柳瀬氏は首相から指示されたこともなく、面会の結果を首相に報告したこともない、と答えた。
さらに、愛媛県の文書によると、面会の際に柳瀬氏が「本件は首相案件」と述べたとされているが、「総理が早急に検討すると述べているとの趣旨は紹介したが、今治市の個別プロジェクトが首相案件とは言っていない」と答えた。