また、年金実務に詳しい社労士の三宅明彦さんによると、「死亡」をめぐっては、70歳超に拡大されると「受給前の死亡」で新たな問題が発生するという。
「年金の時効は5年です。したがって、繰り下げ途中で死亡しても5年分の年金が遺族に支給されるので、70歳までの繰り下げなら損失は生じません。しかし、70歳超に拡大するとどうなるか。例えば74歳で亡くなったら、69歳からの5年分は支給されますが、65歳から69歳までの4年分は時効になるので支給されません」
繰り下げのさまざまな側面をみてきたが、ともあれメリット、デメリットを考慮して、どうするかは自分で判断することが大切だ。
政府は関連法改正案を2020年の国会に提出予定というから、決まっても実施はまだ先のことだ。考える時間はたっぷりある。(本誌・首藤由之)
※週刊朝日 2018年4月13日号より抜粋