北朝鮮は現在、核ICBM保有の一歩手前まで来ているが、完成してはいない。完成させたいところだろうが、次に実験となれば、今度は「火星14」「火星15」の長距離発射になる。ハワイと米本土の間の東太平洋の奥深くに飛ばすことになるが、アメリカとの緊張激化は避けられない。そのリスクは避けたいはずだ。

「米国の先制攻撃論まで出ていたが、それを回避するために対話を仕掛けるというのは、北朝鮮にとっては無難な安全策です。その間、核実験やミサイル発射実験はできなくとも、技術開発は継続できる」(北朝鮮ウォッチャー)

 また、北朝鮮側としては、新規の実験凍結や、少しの妥協を見せることで、制裁解除を狙うこともできる。これは北朝鮮にとっては有利な取引だ。

 いずれにせよ、北朝鮮は一方的な核放棄は絶対にしないが、かといって対米対話を決裂させたくはない。そこで中国に仲介役となってもらうことが必要になる。北朝鮮にとって中国は、対米交渉での後ろ盾であると同時に、孤立しないための「保険」なのだ。

 そして北朝鮮と韓国は3月29日、南北首脳会談を4月27日に行うことで合意。5月までにトランプ大統領と金正恩が首脳会談する予定だという。

 米、中、韓が北朝鮮とギリギリの駆け引きをしている状況で、残念ながら日本はカヤの外だ。

 森友疑惑で支持率が落ち込んだ安倍政権は、遅ればせながら、14年ぶりの日朝首脳会談を実現させるべく動いているという。

「日朝首脳会談をやろうとすれば、いつものように北から経済協力、つまり資金援助の要請がくる。大金をはたいてもたいして政権浮揚につながらないだろうし、南北、米朝首脳会談だって本当に実現するか、まだ不透明だ。まずは金正恩のお手並み拝見でいいのでは……」(政府関係者)

週刊朝日 2018年4月13日号

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