3月29日には厳しい処分も予想されるが……。左が貴公俊(c)朝日新聞社
3月29日には厳しい処分も予想されるが……。左が貴公俊(c)朝日新聞社

「改心」「白旗」「降参」──。大横綱と言われた彼が今、周囲からどう見られているかがわかる刺激的な言葉がスポーツ各紙の見出しとして躍ったのは3月24日。その前日、貴乃花親方(以下、貴親方)が、元日馬富士による暴行事件以降続けていた日本相撲協会との対立姿勢を一変し、内閣府に提出していた告発状を取り下げる意向を示したからだった。

 きっかけは身内の不祥事。春場所8日目の18日、弟子の新十両貴公俊(たかよしとし・20)が支度部屋で付け人を数発殴った“事件”だ。付け人の不注意で取組の時間が正しく伝えられず、土俵下の控えに慌てて駆け込んだ貴公俊はその場で審判長からとがめられ、直後の取組でも敗れた。支度部屋に戻ると付け人に腹を立てて殴り付けたという。今回の貴公俊の暴力の背景には、双子の弟の貴源治が先に十両になっていたことでの“焦り”があったらしい。

「やっと弟に追いついた場所でしたから。貴親方は、そんな弟子の心理状態のフォローができていなかったんじゃないですか」

 こう語るベテラン記者によると、そもそも貴乃花部屋(以下、貴部屋)は人手不足の事情もある。本来は関取1人に付け人2人だが、関取が4人いる貴部屋の総力士数は9人。付け人は8人必要だが5人しかいないのだ。

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