“ゼロ回答”に終始する佐川氏の答弁に、近畿財務局の関係者はこう語る。
「佐川氏の証言は、責任は自分にある、申し訳ないといいながら空虚に聞こえる。われわれの仲間が財務省の指示で改ざんさせられ、それがもとで命を絶ったのに、お詫びもないし、本当に責任を感じているのか疑問。刑事訴追を受けるから改ざんの詳細は話せないというが、それをさせたのは佐川氏。ひどい証言だ」
改ざん作業では財務省理財局と近畿財務局にはそれぞれ実務的な窓口になる人間がいたという。
「それが3月7日、自殺したAさんで、最終的に改ざんをさせられた。かなり上のレベルから指示があり、削除する作業を何度も何度もやらされた。近畿財務局では森友を『総理案件』と呼び、Aさんは書き換え作業で本省に連絡をとって深夜まで帰れず仕事をしていたようです」(別の近畿財務局関係者)
Aさんは亡くなる前、家族に向けた数行の遺書と、パソコンで作成されたA4用紙に5~6枚のメモを残したという。
「決済文書の調書が詳しすぎると、書き換えさせられた」などと書かれていたと報じられた。
安倍首相や麻生財務相、官邸、首相秘書官からの指示はなかったと語る佐川氏。だが、ある自民党幹部はこう語る。
「格安での国有地払い下げ、文書改ざんなど一連の森友案件の“主犯”は安倍さんの懐刀の今井尚哉首相秘書官だろう。彼が理財局の迫田英典氏(売却交渉時の局長)、後を引き継いだ佐川氏と相談し、“実行”させた。昭恵夫人が絡む森友案件の首相答弁は今井氏が財務省と調整し、練り上げていた。もし、佐川氏が今井氏の名前を出したら、安倍政権はもたなくなる。安倍さんは必死で今井氏を庇(かば)っており、代わりに杉田和博官房副長官に責任をとらせるのではないか、という声も出ているほど。首相周辺からは『今井氏を重用しすぎた、ヘタな小細工で墓穴を掘った』という声がしきりだ」
前川喜平・前文科事務次官も本誌先週号で、「官邸にいる誰かから『やれ』と言われたのだろう。私は、その“誰か”が首相秘書官の今井氏ではないかとにらんでいる」と名指ししていた。だが、自民党国対関係者はこう言う。