佐川宣寿前国税庁長官の証人喚問を目前に控え、森友疑惑の構図の骨格がみえてきた。
「改ざんに関ったのは、財務省理財局と近畿財務局合わせて10人くらい。近畿財務局は当初、理財局の改ざん指示に対し、『そんなことするのか』『国会答弁はそちらの問題だ』などとかなりの拒否反応を示しました。だが、理財局が『近畿財務局がこんなことを決裁書に記すからだ』と反論するなど紛糾。数日間の押し問答が続き、双方の幹部が話し合った末に改ざんを決行することになった」(近畿財務局関係者)
そして財務省で話し合いがあった後、近畿財務局に具体的な指示があったという。
「14の決裁文書の削除箇所は理財局側がマーカーで線を引いて指示。やり取りはメールで、その分量があまりに多く、『こんなにやるのか』と近畿財務局側が拒否するなど押し問答があったそうだ。だが、最後は『組織防衛のため』と本省が力で押し切った」(同前)
近畿財務局の中には籠池泰典前森友学園理事長が安倍首相や昭恵夫人と親しいということで「籠池先生」と呼ぶ幹部もいたという。
「それゆえに局内では『何とかうまく進めなければ』というプレッシャーが上から下まであったのは事実。『いい土地だから前に進めて』という昭恵夫人のセリフが文書に記されているが、局内の思いでもあったようだ。何とか前に進めなければいけないと。それが裏目に出過ぎて国会で問題になった」(同前)
森友文書の改ざん問題の渦中、自殺した近畿財務局職員Aさんの故郷は岡山県だ。地元の岡山4区選出の希望の党・柚木道義衆議院議員(45)はAさんの自殺問題について、国会でも度々、言及してきた。柚木議員は語る。
「公文書って、官僚にとっては命同然だそうです。その命を改ざんしろと言われたから、Aさんは命を絶ってしまったとしたら本当にお気の毒だと思います」
改ざん作業で財務省理財局と近畿財務局にはそれぞれ実務的な窓口になる人間がいたという。