渡辺雄太選手(c)朝日新聞社
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 バスケットボール男子日本代表が窮地に立たされている。来年開催のワールドカップ(W杯)1次予選で、アジア勢に4連敗。2年後の東京五輪出場を危ぶむ声が強まっている。浮上の“秘策”はあるのか。代表強化のトップ、JBA(日本バスケットボール協会)の東野智弥・技術委員長に聞いた。

*  *  *
──男子日本代表は2月25日のフィリピン戦に敗れ、W杯アジア地区1次予選4連敗です。

 非常に厳しくなっています。サッカー日本代表がアジア予選で4連敗したと置き換えて考えてみてください。ファンやメディアを含め、いろんな意味で大騒ぎになりますよね。でも、バスケットではそうはならない。この現状を厳しく受け止めて、「バスケット維新」と言える変革を成し遂げる必要があると思っています。

──変革には何が必要ですか。

 2016年に、それまで二つあったトップリーグが事実上統合され、プロバスケットボールのBリーグが誕生しました。ようやく強化に向けた確固たる土台ができた。そして、昨年7月に、アルゼンチンのフリオ・ラマス氏を日本代表のヘッドコーチ(HC)として招請し、世界で勝てるバスケットを目指して動き始めています。

──ラマス氏をHCに選んだ理由を教えてください。

 国際舞台での経験が豊富で、低迷していたアルゼンチンを世界の強豪へと押し上げた実績があります。アルゼンチン国民の平均身長は日本とあまり変わらない。それでも、そのハンディをはねのけて、チーム力を高めたんです。ラマス氏が退いた後、04年のアテネ五輪では、それまで3連覇していたアメリカを準決勝で破って優勝しました。アルゼンチンは日本同様、長らく五輪から遠ざかっていた。1996年に再び出場するまでにかかった期間は44年。日本男子が東京五輪に出られれば、44年ぶりの出場になります。ラマス氏には16年のリオ五輪後から何度も会いに行き、粘り強く交渉しました。彼の手腕に託し、我々の強化策が結実すれば、必ず日本のバスケは強くなります。

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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