今年4月から新たに「国際総合力認定制度」を始めます。世界の多様な人々とともに生き、ともに働く力を鍛えるための仕組みです。国際力をつけるためのさまざまなプログラムをわかりやすく体系的に整理して、学生が達成度を実感しながら自らレベルアップできるようにしました。
そして一定のレベルを超えたら認定書を出します。社会に出るときの自己PRにも生かせるでしょう。今年の新入生は認定制度開始後の第1期生です。大いに活用してください。
大学生時代とは、個々人の時間が大事なものとして尊重され豊かに保証されている、人生の中でもまれな時代です。
大学ほど自由でオープンに議論できる場は、ほかにはなかなかありません。
東大は優秀で多様な教職員と学生が集う「知の密度」が高い場所です。そこで学べる幸せを大切に、後悔のないように過ごしてください。
違った分野の人と関わることは後々大きな財産になります。
私は学生時代に古典ギターのサークルで文系理系を超えた多くの友人を作りました。卒業後はそれぞれの分野で大活躍しています。還暦になった今でも定期的に会っています。そういう交友関係は広い視野を与えてくれ、人生のさまざまな面でプラスになっています。ぜひみなさんも、いろいろな人々との交流の輪を広げてください。
■京都大学総長 山極壽一(66)
いま、この激動の時代を生き抜いていくなかで、最も必要なものは、自分を相手にどうわかってもらうかと、相手が自分に対してどういう感情を抱いているかを把握する能力。つまり「対話」する力です。
これは直接の会話でしか培われない。いまはICT(情報通信技術)社会ですが、インターネットでは相手が差し出す情報は引き出せても、それ以上の「何か」は伝わらないからです。
少し前まで知識というものは、人から人へ、もしくは本から人へでした。講義を聴くか図書館で本を読んで得るものでした。でもいまは、いろんな情報がネットの中に漂っているので、キーワード検索さえすれば、外へ出なくてもなんらかの答えは得られる。
では大学に何しに来るのか。僕は、ネットの中にはない「生」の知識をつかむためだと思います。