2月25日、東京マラソンを2位でゴールする設楽。1億円を何に使う? (c)朝日新聞社
2月25日、東京マラソンを2位でゴールする設楽。1億円を何に使う? (c)朝日新聞社
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 東京マラソン(2月25日開催)で快挙を達成した設楽悠太(26=ホンダ)。

 日本人トップの2位で完走。これまで16年間破られていなかった日本記録を塗り替え、2時間6分11秒の日本新記録を樹立した。記録と同時に話題になったのは、設楽が手にすることになった金額だ。2位の賞金は400万円だが、それとは別に1億円のご褒美がもらえる。日本実業団陸上競技連合が2015年から設けた制度により、日本記録を更新した選手には褒賞金1億円が支給されるのだ。

 ちなみに先日閉幕した平昌五輪で、二つの金メダルを獲得した高木菜那の報奨金は、日本オリンピック委員会(JOC)から1千万円、日本スケート連盟から1千万円の計2千万円。2連覇を達成した羽生結弦は計1千万円。カーリング女子たちは協会からの報奨金はなく、JOCからの1人100万円のみ。それに比べると1億円は破格の金額だ。

 もらいすぎではないかという声も上がるが、かつて日本マラソン界をリードした宗兄弟の兄、宗茂さんはこう反論する。

「賞金を得てもサラリーマンに毛が生えた程度しかもらえない現状では、陸上競技は発展していかないという思いがあります。現役の間に一生分稼げるような金額にならないと。そもそもマラソンは年間2、3回しかレースできないのだから、1レースの優勝賞金が1億円あってもいいんじゃないかと、私は40年前から言っています」

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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