制度ができてすぐは、記録を狙うと手をあげる選手が出てこなかった。
「ただ、実際に設楽選手が褒賞金を手にしたことで、現実感が出ました。これから新たな選手が出てくることに期待できますが、はたしていつまでこの制度は続けられるのか、記録更新するたびに払い続けられるのか、そこは疑問ですね」(宗さん)
同連合の資金が続く限り、東京五輪直前まで制度は有効のようだ。プロジェクト事務局担当者は言う。
「この制度がカンフル剤になって記録につながった。ひとまずは成功ととらえています。東京五輪のマラソンでメダルを取ってもらうことが一番の趣旨。さらに記録更新する競技者が出てくることを期待します」
“エサ”をぶら下げての強化策は本当の成功をつかめるのか。その答えは東京五輪の表彰台の上にある。(本誌・秦正理)
※週刊朝日 2018年3月16日号