「終末期をどうとらえるかとも絡みますが、口から食べられなくなった時の状態です。明らかに死期が迫っている臨終期なのか、まだ回復の見込みがある段階なのか。口から食べられない=寿命とステレオタイプで考えられてしまうと、逆に過小医療や過小介護の問題が生じかねません」
医療側は、さまざまな可能性に着目して対策を練りつつある。
先の照沼理事長は、患者の容体の急変などで家族が救急車を呼んでしまい、救急医によって延命治療が行われてしまうのを避ける方法を考えている。
「在宅医療、救急医療の仲間たちと昨年、『日本在宅救急研究会』を立ち上げました。患者が苦しんだ場合に家族はどうすればいいのか、救急車を呼んでしまったら、かかりつけ医と救急医でどうすれば連絡を取り合えるのかなど、いろいろなガイドラインを作るべく準備をしています」
また、厚生労働省はこの春、終末期の治療方針の決定手順などをまとめたガイドラインを11年ぶりに改定する。発表された改定案では、病院だけでなく自宅や介護施設で最期を迎える場合にも対象を広げ、今後の見通しや医療について、患者と医師らが機会があるたびに話し合う「アドバンス・ケア・プランニング(ACP)」の考え方が重視されている。
一つひとつ、環境整備が進みつつあるのだ。(本誌・首藤由之)
※週刊朝日 2018年3月9日号