鈴木おさむ/放送作家。1972年生まれ。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。多数の人気バラエティーの構成を手掛けるほか、映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍
妊活を始める夫婦は、まず、男性の検査がとても大事(※写真はイメージ)
放送作家・鈴木おさむ氏の『週刊朝日』連載、『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は「男の妊活」について。
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この1~2年、妊活に挑んでいる女性に、職場などでふと相談されることがよくあります。仕事の合間に、さっと寄ってきて小さな声で「実はうちも妊活中なんですよ~」と言ってくる女性。そこで僕は必ず聞きます。「旦那さん、精子の検査、した?」と。すると「してないんです」という人が結構いて。妻が妊活に入る前に、妻から一つだけ先にやってほしいことがあると言われたのが精子の検査でした。その検査で、自分の精子の運動率が悪いことや「やや奇形」と書かれたショッキングな紙を見て、自分の精子はあまり状態が良くないのだということを知りました。そこから、いろんな人に話を聞いたり、何人もの先生に精子についての持論や意見を聞いてみたりして。男性の精子にもかなりの責任があるのだなと気づきました。そりゃそうですよね。精子と卵子で受精するわけですから。
男性は、自分の精子に問題があるわけがない!と思ってる人がほとんどだと思います。が、そんなことない。不妊に悩む夫婦で精子に原因があるってこともとても多い。簡単に%で示せるものじゃないと思いますが、精子と卵子でできるものですから、そこは50%ずつだと僕は思っています。
妊活のスタートは精子検査からと僕は思っています。だってそれをすることで、意識が変わる男性が多いから。
精子も年齢と関係しているという研究結果を発表している先生がいて、これはかなり広がってきているし、ネットでもすぐに出てきます。これは「35歳を分岐点として精子の力が落ちる人と落ちない人がいる」というもの。
35歳を過ぎて、精子も老化していくということです。これは男性全員ということではなく、精子の力が落ちていく人と落ちない人に分かれるということですね。僕は最初にこれを聞いたときに驚きました。
女性は35歳を過ぎると高年齢出産と言われる年になるので、卵子が老化していくことなどを意識する人が多いと思います。男性は、年をとっても子供を作る人もいるので、年齢と関係ないと思われがちですよね。だけど、違う。精子の力が落ちていく人もいるのです。男性も35歳を過ぎたら、自分にその可能性があることを意識しなきゃいけないのです。
だから、妊活を始める夫婦は、まず、男性の検査がとても大事。不妊の問題は、どうしても女性側に原因があると思われがちな中、男性は「自分に原因があるかも」と思うことが、とても大事なのです。
だけど、男性の精子の危機意識、なぜか広まらないんだよなぁ。
※週刊朝日 2018年3月9日号

