宇野と羽生は普段、テレビカメラの前ではお互いを「羽生選手」「宇野選手」と呼んでいるが、プライベートでは違うという。
「2人は先輩後輩ですが、変なテンションがなく、プライベートでは『ゆづくん』『昌磨』と呼び合う仲。現場は和気あいあいとした雰囲気でした。五輪の会見では同時通訳用のイヤホンをつけるのですが、初出場の宇野選手は最初それに気づかず、羽生選手がつけてあげるという、ほほえましい場面もありました。宇野選手という存在が近くにいることで羽生選手は張り合いが出るし、宇野選手は上に羽生選手という巨大な存在がいて風よけになり、伸び伸びと滑れたのではないでしょうか」(同前)
あるスポーツライターもこう言う。
「羽生君が欠場している間は、ずっと留守を守っている状態で重圧も大きかった。平昌では報道陣などが羽生君に殺到するかたちとなったので、うまく隠れ蓑に隠れた状態で、楽な気持ちでのぞめたことが今回は良かったと思います」
羽生にとっての宇野とはどういう存在なのか。
「宇野が世界で初めて4回転フリップを成功させたとき、自分も抜かれるかなという思いがあったと思う。それが羽生の発奮材料になったのは間違いありません」(佐野氏)
新時代の幕は、もう上がっている。(本誌・太田サトル、小泉耕平)
※週刊朝日 2018年3月2日号