Q4.スピンとステップのレベル3とレベル4の違いって、なんですか?
五輪に出る選手のスピンやステップは、基本的にはまずレベル4です。ただ、たまに「刃が甘い」(エッジをアウトサイドとインサイドにきちっと力を乗せて踏めていない)、片足で立っていなければならないところで上体が倒れる、バランスが取れていない、といった場合、レベル3になってしまいます。スピンの場合は、3回回らないといけないところで、2回だけだったという場合、レベル3になってしまいます。
Q5.五輪は他の大会と何が違いますか?
比べ物にならないほど、「重み」が違います。個人競技なので、国の代表だという重みが自分一人にのしかかってきます。メディアの伝え方も他の試合とは全く違っていて、選手の一挙手一投足が中継されます。ただ、五輪のそうした雰囲気を「怖い」と思うのは当たり前。メディアの注目、国民の期待に翻弄されるか、舵をとれるかで、成績は変わってきます。
Q6.五輪の最中、選手はどんなふうに過ごしているんですか?
練習時間は限られているので、私は、選手村を散歩したり、食堂に行ったりしていました。食堂は誰かしら選手がいるので、気分転換になるんです。アイスホッケーやカーリングなど、違う種目の選手とお友達になったり、他の国の選手とピンバッジを交換したりして過ごしたのは懐かしい楽しい思い出です。試合が終わるまではさすがにだらっとはできませんが、かといってずっと緊張していても、いざというとき力が出せません。本番で全力を出しやすい環境を自分でつくることも大事です。
Q7.五輪でフィギュアを観戦する際の心構えは?
フィギュアスケートは、たとえ同じプログラムでも一期一会。一回一回違います。例えば、ソチのフリーの浅田真央さんの演技。ああいった観客も本人も感極まるような特別な演技が平昌でも見られるかもしれない。それを見逃さないでください。また、五輪をきっかけに、スケートを観戦するだけでなく、滑りにも行ってほしいですね。ご自身でやってみると、スケートの見方も変わります。そうしてスケートを楽しむ方が増えることが、選手に還元されます。全国でスケートリンクが減っていく状況を変えたいので、ぜひお願いします。
(構成・文/田村明子、本誌・工藤早春)
※週刊朝日 2018年2月9日号