検証の結果、メタボやメタボ予備群は「自立喪失」リスクとの関連性は認められず、むしろメタボではない人のほうが自立喪失、要介護、死亡のリスクが高まる傾向が見られた。フレイルはより深刻で、リスクが非フレイル群の2.4倍、フレイル予備群は1.5倍と高率となった。
研究チームの北村明彦・同センター研究部長が説明する。
「高齢者に限って言えば、メタボよりフレイルのほうが深刻な影響を及ぼしています。さらに驚いたのは、75歳以上の後期高齢者より、前期高齢者のほうがフレイルの影響が大きかったのです。前期高齢者は現在の特定健診に含まれていますから、メタボよりフレイルになっている人の保健指導を行う重要性が明らかになりました」
痩せて栄養不足になると全身的に衰え、抵抗力が低下する。筋肉の衰えを防ぐために筋トレやウォーキングなどの運動と、食事もしっかり10品目(卵、海藻、緑黄色野菜、いも、果物、油脂、牛乳・乳製品、大豆、肉類、魚介類)とることを推奨している。
「特に若い女性が心配です。現在の20代、30代の女性は無理なダイエットをして、栄養状態の悪かった戦後間もないころよりBMIが低下しているのが実情です。かなりの人が中高年期になってフレイルになる恐れがあります」(北村氏)
とはいえ、BMI30を超えてしまっては生活習慣病リスクが確実に高まるのでご用心。(本誌・亀井洋志)
※週刊朝日 2018年2月9日号