さらに、動画が発達し、技術的にもプロの動きの細かなところまで確認できる時代となったし、プロ、アマの交流も進み、トレーニング理論はアマチュアに浸透している。単に「高卒」「大卒、社会人」というくくりでは判断できない。新人合同自主トレの期間にいかに選手の基本的体力を見抜くか。数値も含めた疲労度もチェックして判断する必要がある。
新人選手たちにも言いたいことがある。それは、1、2軍の入れ替えは頻繁にあり、キャンプ2軍スタートでも焦る必要はないということだ。今は1、2軍の入れ替えは活発だし、1軍の監督は2軍キャンプの選手の日々の動きも動画で確認できる。首脳陣は必ず「一番状態の良い時に1軍で見てみたい」と考えている。だから、2軍でスタートを切る即戦力の期待をかけられている選手は、オーバーワークだけは絶対に避けることだ。各球団のメニューは綿密にスケジュールが立てられている。無理のないペースで上昇を目指せばいい。1軍スタートの選手も同様で、自分の体と対話しながらメニューを消化してもらいたい。即戦力なら、必ず3月のオープン戦期間中にチャンスはもらえるはずだ。
話は変わるが、海の向こうの大リーグでは、ダルビッシュやイチローら、まだ移籍先が決まっていない選手が多いが、誰も焦っている感じはしない。そちらも時代は大きく変わっていると感じる。10年前なら、2月中旬に始まるキャンプを前に移籍先を早めに決めて、衣食住環境をチェックして……と準備したがる選手もいたが、そんなそぶりもない。大リーグという舞台で長年活躍する選手が増え、大リーグの仕組みを理解していると感じるよね。
2月になれば、私も宮崎や沖縄などのキャンプ地を見て回りたい。もちろん、松坂が中日のテストに合格すれば、彼とも話ができたらと考えている。その中で新戦力を自分の目でチェックもしていきたい。
※週刊朝日 2018年2月2日号
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