しかし、課長は園に0歳児の受け入れを了承させ、正式入所させてしまう。

 第2希望以下の保育園であれば、空きのあるところもあったという。

「第1希望の園には兄が入所していたからですが、多くの市民が兄弟が別々になっても我慢している」(A氏)

“面積基準”を満たさなくなったが、保育園には補助金の支払いが続けられた。A氏は公益通報を行ったが、是正措置は取られなかった。それどころか、阿部裕行市長は“面積基準”を「5平方メートル以上」から「おおむね5平方メートル以上」と変更してしまう。しかも、多摩市が制度を制定した08年4月まで遡って適用した。市は課長を戒告処分にしたが、問題の幕引きを図ったのは明らかだ。

 A氏は昨年10月、補助金計456万円が違法に支出されたとして、阿部市長に対する住民訴訟を東京地裁に提起。代理人の加藤博太郎弁護士が説明する。

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