多摩市役所。「手続き上のミスはあったが、違法ではない」と言うが……(撮影/亀井洋志)
多摩市役所。「手続き上のミスはあったが、違法ではない」と言うが……(撮影/亀井洋志)
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 待機児童の増加が社会問題化して久しいが、東京都多摩市の職員の子どもが“優遇”されて保育園に入所した疑いが浮上している。

 2014年12月、児童の入所選考や保育園への補助金交付を担当する「子育て支援課」の課長(当時)が働きかけ、同僚職員の0歳児を、第1希望の認可保育園に押し込んだという。

 この問題を告発した元同課職員のA氏が語る。

「同僚職員の妻が重篤な病気になり、同情したのがきっかけだと思います。しかし、正規の手続きを踏まずに課長がトップダウンで決めてしまったのです」

 課長は認可保育園の園長に直接電話で入所を要請した。しかし、定員の空きがなかった園側はいったん断った。というのも、多摩市の補助金である「0歳児加算額」の交付が受けられる要件として、保育園は「0歳児1人につき、5平方メートル以上」のスペースがなければならない。新たに0歳児を受け入れれば、この“面積基準”を下回ってしまうからだ。制度は厳格に運用されてきたようで、市の内部文書には<過去に虐待等で緊急入所させた児童も、面積基準を満たさないのに入所させた前例はない>とある。

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