楽天監督時代の星野仙一氏 (c)朝日新聞社
楽天監督時代の星野仙一氏 (c)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

「燃える男」と呼ばれた楽天の星野仙一球団副会長が4日に死去した。享年70歳。現役時代は中日のエースとして活躍し、引退後は中日、阪神、楽天の監督を歴任。4度ものリーグ優勝を飾り、楽天時代の2013年には日本一に輝き、2017年に野球殿堂入りした。その星野氏を06年、週刊朝日が独占インタビュー。聞き手は、野球好きの直木賞作家、重松清氏(43)。当時、村上ファンドの買収騒動で揺れた阪神問題、星野氏が考える「この国のかたち」にまで話は及んだ。追悼の思いを込めて、掲載した記事を再録する。

*  *  *

重松清:阪神の問題はこれまでいろいろあって、星野さんはずっと「阪神を守る」「甲子園を守る」という気持ちで発言されていました。村上ファンドについては、今はどう思われていますか。

星野仙一:今の世の中、多様になって日本人のわびさび、義理人情ってのがね……。あの時は、野球人の聖地・甲子園に村上ファンドが手をつっこんできたから、つい「天罰」なんて言葉を口にしてしまいました。

重松:甲子園は、もちろんタイガースファンの聖地ですが、高校野球ファンの聖地でもある。そんな球場は、なかなかない。だから、彼らがすごい資金を持ってやってきた時に、日本中の野球ファンに声をかけたらもっと対抗できたかもしれないと思うんです。

星野:2003年に阪神のユニホームを脱いで「ああ、これでゆっくり休んでられるな」と思ったら、すぐにいろいろ起きましたよね。まず、1リーグ制の問題、それから、選手たちのストがあってね。結局、2リーグ制を維持して、交流戦を始めることになりました。辞めて2年目は、例の村上問題が出てきたり、私のジャイアンツ監督就任問題が出てきたりして大騒ぎになった。3年目の今年は、村上問題が本格化してね。もう、来年は何が起きるのかって、楽しみにしているくらいなんですけどね(笑い)。それにしても、プロ野球がどういう方向に進んでいくのだろうかと心配です。新規参入とみなされて、阪神が30億円支払うことになりそうですしね。

次のページ