A:悪質な場合は刑事罰に問われる
相続税を納めなければいけない人が増えるに従って、申告漏れも増える恐れがある。税務当局は監視を強めている。
国税庁によると16年(事務年度)に全国の国税局などが行った「実地調査」は約1万2千件。そのうち約8割で申告漏れなどが見つかった。申告漏れの総額は3295億円で前年より9.7%増えた。
背景には地価の高騰や株高などによって、遺産が膨らむケースが増えていることがある。相続税を免れようと“資産隠し”をする事例も、相次いで発覚している。
税務当局が最近注目しているのが海外資産だ。海外で資産を運用している人は多いが、国内に比べ実態を把握するのが難しく、資産隠しの温床になっているとの見方もあった。
国税庁によると、16年には海外資産に関連して917件を実地調査。52億円の申告漏れを指摘した。海外資産が5千万円超の人には「国外財産調書」を出してもらう制度ができ、海外当局との情報交換も進む。「海外の口座だから黙っていればバレない」などと思っている人は、考え直そう。
意図的な多額の申告漏れで「悪質」だと判断されれば、重加算税を支払わなければいけない。国税当局から相続税法違反の疑いで告発される可能性も高まる。相続税約5億円を脱税した事件では、実刑判決が出たこともある。刑事罰に問われるリスクがあることを理解し、正直に申告しよう。
※週刊朝日 2017年12月29日号