グレース夫人は、もともとムガベ氏の秘書で、軍人の夫を持つ既婚者だった。奥さんを亡くしていたムガベ大統領に見初められたのか、接近したのか、1996年に2人は結婚した。六辻さんはグレース夫人の“悪妻”ぶりを指摘する。
「グレース夫人がいつ前夫と離婚したのかなど、結婚そのものが疑惑だらけです。グレース夫人は浪費家としも知られています。パリに数日滞在した時は、連日数千万円の買い物をしたと言われています。国が破綻(はたん)しそうでも2人の住む御殿は100億円はかかったとされ、やりたい放題でした。『英雄は色を好む』と言われるが、常軌を逸した嫁に引っ張られるのは別の話です」
六辻さんは、ムガベ氏は、北朝鮮の金正恩総書記、中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領、エリトリア(アフリカ)のイサイアス大統領と並ぶ、世界の五本の指に入る独裁者だったという。今後注目すべきは、イサイアス氏だとしている。
「極貧国なのに国家のためとはいえ、あちこちで戦争している。選挙をしないという法律も自分で作ってしまった。イスラム過激派やソマリア海賊とのつながりも指摘されています」
ムガベ氏は失脚したが、裁者が地球上から消えることはなさそうだ。(本誌・大塚淳史)
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