CH53は、事故からわずか1週間で飛行を再開した。翁長雄志知事は「日本政府に当事者能力がない。こういう状況を強いられている沖縄県こそが国難に遭っている」と怒りをあらわにした。だが、前出・平和委員会の大久保さんは「沖縄県だけの問題ではない」ことを強調する。

「沖縄の過剰な基地負担の一方で、日米両政府は“本土の沖縄化”も進めているのです。『沖縄の痛みを分かち合う』ことを大義名分にしながら県外に移転した訓練は、質量ともにはるかに強化して実施されているのが実態です」

 例えば、キャンプハンセン(金武町)では公道を封鎖した実弾砲撃演習が行われていた。155ミリ榴弾砲を使った「県道104号線越え」砲撃訓練は危険性などを理由に、96年のSACO(日米特別行動委員会)の合意により、矢臼別(北海道)、王城寺(宮城県)、北富士(山梨県)、東富士(静岡県)、日出生台(大分県)の5カ所の自衛隊演習場に移転している。

「実弾演習量は増加し、沖縄では使っていなかった非人道的兵器の白燐弾まで使用しているのです。周辺では騒音や流弾の被害も広がっています。嘉手納基地の騒音軽減を口実にして県外5カ所の空自基地に移転しましたが、発着機数は増加しています。ですから、今回のヘリ事故を県外の人たちも自分たちの問題として受け止めてほしいと思います」(同前)

 米軍基地の「県内移設」も「県外移設」もまやかしで、およそ整理縮小には結びつかないことを思い知るべきだろう。(本誌・亀井洋志)

※週刊朝日オンライン限定記事

暮らしとモノ班 for promotion
大型セールAmazonプライム感謝祭は10/19(土)・20(日)開催!先行セール、目玉商品をご紹介