円谷プロは「初期映像作品(6作品)の海外での利用権は、複数の国と係争中」と認めるが、タイとの契約書に関して、「海外における一定の利用権の許諾のみを記載しているに過ぎず、著作権を譲渡するものではない」と、一貫して「すべてのウルトラマンシリーズの著作権者は円谷プロ」と主張している。
知的財産権に詳しい新紀尾井町法律事務所の江口大和弁護士は説明する。
「日本の著作権法は、国外でも適用されます。ただ条件があり、侵害した者が日本国民であった場合のみ。今回のケースでは中国の著作権に関する法律の下で争い、中国の裁判所に対して差し止めなどの請求を行うことになります」
また、パロディーと著作権侵害の線引きは国によって異なり、著作権を守りたければ、海外展開する国ごとに緻密な対策が必要だという。
円谷プロは「製作会社及びその取引先に対し、法的措置をとる準備を行っております」と回答。ウルトラマンを制作した中国の会社は「中国の最高裁判所でも権利を認めた」とし、ネット上に判決文も載せている。
肝心の映画の質は、中国の批評サイトでは、星五つという高評価もあれば、「クソ中のクソ」という酷評も。上海でコンテンツビジネスに携わる関係者はこう語る。
「連休中の公開にもかかわらず、客足は伸びていない。赤字でしょうね」
劇場での勝負はついているようだ。(本誌・秦 正理)
※週刊朝日 2017年10月20日号