カロリーゼロの人工甘味料入り飲料は、体形が気になる人にとっては心強い味方。しかし、最近の研究では、糖尿病のリスクを高めるという指摘もある。頼りすぎて、油ものなどほかの食べ物でカロリーオーバーになってしまう人もいるようだ。
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中部地方に住むミカコさん(45)夫妻は、週に1~2本、人工甘味料入りのコーラや炭酸飲料を飲む。気持ちをスカッとさせたいときや、甘いものをとりたいときに利用するそうだ。
「やっぱりカロリーが気になるので。ゼロカロリーの飲みものなら安心です」(ミカコさん)
昨今、スーパーマーケットやコンビニエンスストアの飲料コーナーでよくみかける人工甘味料入りの、いわゆる“ゼロ・オフ系”ダイエット飲料。ミカコさんのようにカロリーを気にする人や、ダイエット中の人にとっては心強い味方だ。
だが、実は一見ヘルシーにみえるこの人工甘味料は、体内の糖の代謝に影響を与え、糖尿病の発症リスクを高める可能性が指摘されている。糖尿病予防の視点から人工甘味料の研究を行っている金沢医科大学医学部衛生学准教授の櫻井勝さんは、こう話す。
「人工甘味料は砂糖と違って、血糖値を上げることはありません。ですが、まったく別のメカニズムから糖尿病の発症に関わっている可能性が、さまざまな研究でわかってきています」
人工甘味料とは「化学合成された甘味物質」の総称。日本ではアセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロースの3種類がよく使われているという。一方、キシリトールやステビアなどは天然甘味料で、人工甘味料とは別のものだ。
あんなに甘いのに、なぜカロリーがゼロなのだろうか。神奈川県立保健福祉大学栄養学科教授の中島啓さんは説明する。
「ヒトの体内に吸収されるアスパルテームは、グラム当たりのカロリーは砂糖と変わりませんが、使用量はわずかなのでカロリーは限りなくゼロです。一方、アセスルファムカリウムとスクラロースは、生物がカロリーとして利用できる物質ではないため、完全にカロリーはゼロになります」