東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。
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平成の怪物は来季、どんな投球を見せてくれるのか(c)朝日新聞社
平成の怪物は来季、どんな投球を見せてくれるのか(c)朝日新聞社

 CS、日本シリーズの行方が気になるプロ野球界。同時に各球団が来シーズンの戦力について本気で考える時期にもなっている。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏が松坂大輔投手を叱咤激励する。

【写真】現役続行の意向を示した松坂大輔選手

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 ソフトバンクの松坂大輔が現役を続ける意向を示した。それ自体がニュースになるということは、世の中の人は「辞めるのではないか……」と感じていたからだ。選手は晩年になると、常に周囲の「引退」の視線を受けるようになる。球団の目もどんどん厳しくなるし、本人も自然と意識するようになる。

 右ひじの手術は2011年。あれから6年がたった。故障と向き合う毎日が続けば、誰だって気持ちは沈む。だが、今年2月に宮崎で会食した時の彼の目の輝きを信じている。「このままでは終われないし、支えてくれる球団、ファンに何とか……」と話す姿に、迷いはみじんもなかった。今年3月25日の広島とのオープン戦で、すでに開幕2軍スタートがわかっていながら7回無安打無失点の投球を見せた。投げられるようになれば……と期待を抱かせる投球だった。あの投球が支えになっているのかもしれない。

 高年俸を手にした選手ほど、戦力にならない場合は世間の厳しい目にさらされる。それはプロの世界に身を置く以上は仕方がない。だが、ソフトバンクに残るのなら契約内容はガラリと変わる。球団に戦力外を言い渡されたっておかしくはない状況なのだから。それでも、本人は現役を続けるという。その姿勢、思いだけは大切にしてあげないといけない。

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