安倍首相は特区について「オープンな議論を行い、その議事録はすべて公開されています」と語ってきたが、これもウソだったのだ。
政権内にも気になる動きがあった。9日夜、安倍首相の私邸を麻生太郎財務相が訪問したのだ。
麻生氏は自民党の獣医師問題議員連盟の会長を務めており、元々、国家戦略特区制度による獣医学部の新設に反対の立場。昨年11月の国家戦略特区諮問会議の議事要旨にも、法科大学院を例に出して「上手くいかなかった時の結果責任を誰がとるのか」と警告したことが記録されている。内閣改造で自派閥が冷遇されたことにも不満を持っていると言われており、異例の訪問で何が話し合われたのか、さまざまな観測が飛び交った。官邸関係者がこう語る。
「麻生氏は森友学園の問題で何らかの情報を握っており、それをチラつかせつつ安倍首相に何らかの決断を迫ったという話だ。『のまなければ、政権に協力しない』と脅したとか。安倍首相は人事で麻生氏が怒っていることを気にしていて、消費税増税に言及するなどパニックになっているようです。近々検査入院するという話もあります」
外からも内からも“王手”をかけられた安倍首相。そんな中、加計問題が「白紙」に向けて動き始めたようだ。
8月9日には、文部科学省の大学設置・学校法人審議会(設置審)が、8月下旬に予定していた獣医学部の設置認可の判断を保留すると決定した。設置審は加計学園側から9月以降に再提案を受け、10月下旬ごろにあらためて認可の判断がされる見込みだ。
ただし、これは一時的な“時間稼ぎ”との見方もある。前述の民進党の調査チームの会合での文科省側の説明によれば、過去10年間の設置審で保留の判断が下された110件のうち、学校側が申請を取り下げたものが19件、最終的に不認可になったものが2件だという。保留となっても約8割はその後、認可されていることになる。前文科事務次官の前川喜平氏がこう語る。