(1)京都産業大学の獣医学部新設提案がアンフェアな扱いを受け不当に排除されることなった。
(2)競合提案を排除することにより、国家戦略特区諮問会議とその議長である安倍首相が加計学園の提案を認定し、便宜供与・利益誘導することになった。
(3)競合提案の排除は既存の16獣医学部にも及ぶ。そのなかには定員を増やしたい学部もありうるからである。
(4)上記3点により同諮問会議と首相は「岩盤規制」の突破口にするという基本方針とは真逆の恣意的な排除決定を行った。
(5)文科省所管の大学設置・学校法人審議会の権限を制約し、不当な圧力を加えることになる
(6)大学や学部の新設に際してはどの大学も膨大な資料を準備し大変な苦労をしているが、過去・現在・未来のそれらの大学に対してもアンフェアな制度運用を行ったことになる。
以上に加えて、今回の問題は、日本の将来に危険な影を落とす事態が進んでいることを示唆している。
第一に、官邸サイドによる前川氏への人格攻撃や文科省内部文書の存在の否定は、国家権力が個人のプライバシーの侵害や「表現の自由」「思想・良心の自由」の制約・抑圧を公然と行いうることを示した。共謀罪法案が成立するなら、今後も同じような事態が起こりうることを強く予感させる。
第二は、国民の「知る権利」や「報道の自由」や歴史検証の可能性を制限し、政府や行政機関にとって不都合な文書や情報の破棄・隠蔽が広範かつ公然と行われうるという問題である。これは森友学園の問題における財務省の「記録の破棄・不在」主張や、南スーダンPKOの日報を破棄したと主張した自衛隊「日報」問題、さらには、去る4月に表面化した特定秘密保護法により特定秘密指定された膨大な文書の破棄手続きの進行にも見られる。
第三は、内閣人事局が各省庁の幹部職員人事を支配することで公務員の萎縮や忖度が広がり、行政の効率や公平性・適切性が低下するという点だ。
さらに第四として、国民の間に政治不信や官僚不信が広がり、民主主義が危機に瀕する恐れがあることを指摘しておきたい。
※週刊朝日オンライン限定記事