混沌とする加計学園疑惑の“本質”を藤田英典・共栄大学教授、東京大学名誉教授が斬る。国の教育改革国民会議委員などを務め、教育政策に詳しい論客からの緊急寄稿だ――。
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獣医学部新設に絡む加計学園問題を巡って国会が揺れ、巷では真相が解明されないことへの苛立ちと政治不信の声が目立つ。
内閣府が文部科学省に「総理のご意向」や「官邸の最高レベルが言っている」と伝えたとされる文科省内部文書の存否と「総理のご意向」の有無を巡って安倍首相と菅義偉・官房長官など官邸サイドと野党議員や前川喜平・前文科省事務次官との応酬が続いている。ウソをついているのはどちらか。
記者会見などでの前川氏の証言やそれに呼応して出てきた文科省職員のメールとその共有は否定できない事実と見るのが妥当であろうが、官邸サイドは否定し続けている。そのうえ、あろうことか、菅官房長官の前川氏への卑劣な人格攻撃も繰り返され、事態は泥沼化している。
しかし、「総理のご意向」は当初からあったことを示す公文書がある。2016年9月16日開催の国家戦略特区ワーキンググループ・ヒアリングの議事要旨がそれである。その1~2頁に次のように記されている。
○藤原審議官 WGをスタートさせていただきます。文科省、農水省にお越しいただきまして、獣医学部の新設の問題ということでございます(中略)総理からもそういった提案課題について検討を深めようというお話もいただいておりますので、少しそういった意味でこの議論についても深めていく必要があるということで今日はお越しいただいた次第でございます。
このWG開催日は上記の文科省内部文書の作成日の10日前であり、WGヒアリングの事務局担当者は内部文書のタイトルにも明示されている藤原豊・内閣府審議官である。つまり、この時期から官邸と内閣府からの文科省への圧力が始まったということであろう。その結果、前川氏の言うように、「公正公平であるべき行政のあり方が歪められ」ることになった。
「公正公平」がどう歪められたのか。少なくとも以下の6点を挙げることができる。