2.周りの人を観察する 上司や先輩、同僚、友人などのなかには「できる人(自己効力感が高い人)」がいるだろう。その人の成功体験を聞いたり、やり方を観察したりする。

「実際に物事を相談するだけでなく、いざとなったら頼れる人がいる、この人のサポートを受けられるという存在に気づいているだけでも、自己効力感は高まります」(坂野さん)

 そうした存在が身近にいない場合は、本や雑誌、映画、インターネットなどの情報から他の人の体験を知ることで、自己効力感を高めることができるそうだ。

3.言葉による説得を受ける周りの人から「君ならできる」「応援している」と励ましや褒め言葉をもらうと、うまくいきそうな気がしてくる。これも自己効力感を高める一つの方法と考えられている。

 ただ、これだけでは高めることは難しいという意見も。坂野さんが言う。

「私たちの研究室でさまざまな実験を試みましたが、言葉だけでは自己効力感は高まりませんでした。このことからむしろ言葉による説得は、成功体験を持ったときに、言葉で『これって次もできるかもね』という補助的な情報を追加していくという、プラスアルファの意味合いのほうが強いように思われます」

4.体の生理的な反応を知る結婚式のスピーチやコンペのプレゼンなど、重要な場面の前にはドキドキしたり、喉が渇いたりしないだろうか。そういうときは急に不安な気持ちが押し寄せたり、自信を失ったりしやすい。逆に、そうした気持ちの変化や体の反応を自覚して、「いま、ドキドキが弱くなっている」と把握することで冷静になり、不安や自信喪失を予防することができる。これも、自己効力感を高めることにつながる。

「併せて、体調を整えることも自己効力感を高めるためには必要。睡眠不足が続いて集中力が欠けていると、仕事の効率は上がらず、ミスにもつながります。反対に体調がいいと仕事もはかどりますし、ムリもきく。それが成功体験につながることは言うまでもないでしょう」(水上さん)

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