

著名人がその人生において最も記憶に残る食を紹介する連載「人生の晩餐」。今回は作曲家・都倉俊一さんのレストラン クレッセント「ロッシーニ クレッセントスタイル」だ。
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この店は子供の頃、特別な日に両親に連れられていったのが最初です。若い頃はデートにも利用しました(笑)。建物自体がまるで美術品のよう。都心にある店とは思えないくらい雰囲気も良くて気に入っています。
ここ最近は、繊細でモダンなフランス料理が増えたように感じますが、僕には物足りなくて……フランス料理はソースが濃厚なクラシックなスタイルが昔から好きなんです。そんな僕の好みにぴったりなのがこの一品。作曲家で美食家のロッシーニの名にちなんだフレンチの王道とも言うべき料理を、シェフの磯谷卓さんが独自にアレンジした店の看板メニューです。
トリュフのパン粉をまぶした牛フィレ肉は、周りはサクッとして肉質は軟らか。フォワグラはとろりと口の中で溶けてしまう。そこにポルト酒と黒トリュフが香るソースが重なり、たまりません。思わずワインが欲しくなりますね。合わせるならブルゴーニュの赤かな? 熟成したピノ・ノワールの香りは、トリュフとの相性も抜群ですから。
【レストラン クレッセント】東京都港区芝公園1-8-20/営業時間:12:00~13:00L.O.(昼は土のみ営業)、17:30~20:30L.O.(土18:00~)/定休日:日・祝(8月1日~9月30日は改装工事により休業)/2日前までに要予約
※週刊朝日 2017年6月2日号