「1日4杯の人まではリスクが下がっているのですが、5杯以上の人になると結果がぼやけているんです。まったく飲まない人と5杯以上飲む人で効果に差はないように見えます」(齋藤氏)
とはいえ、無類のコーヒー好きでも1日に5杯以上飲む人はなかなかいない、と語るのは全日本コーヒー協会専務理事の西野豊秀氏だ。もちろんコーヒーミルで豆をひいていれるコーヒー党だが、それでも毎日4~5杯だという。
「午前中に2杯、昼に1杯、午後に1~2杯です。あくまでも嗜好品ですから、健康のためと言って義務的に飲むことはやめてほしいですね。エナジードリンクなどに含まれるカフェインの過剰摂取でアメリカや日本でも死者が出ています」
コーヒーといえば、カフェイン効果を期待して眠気覚ましに飲むという人も多いだろう。その際の注意点はあるのだろうか。
「カフェインの錠剤を併用したり、極端な量を飲んだりというのでなければ問題ないです。140ミリリットルのカップ1杯で約80ミリグラムのカフェインが入っているのですが、カフェイン摂取にうるさいヨーロッパでは、1日400ミリグラムに抑えましょうと言われています。これは単純計算でも5杯以上。やはり飲みすぎはよくないですね」(西野氏)
対して、緑茶はどうだろうか。前述どおり、脳腫瘍に関する調査では緑茶を飲む人にリスクの低下は見られなかった。
「ただ、主要死因による全死亡リスクの調査では、緑茶を飲めば飲むほどきれいにリスクが下がっているんです。これはコーヒーとは異なる点です」(齋藤氏)
緑茶については、1日1杯未満から5杯以上までの調査で、男女ともに摂取量が増えるにつれリスクが低下しているが、特に脳卒中との関連性に注目したい。
「データを見ると、1日に4杯以上飲む人には脳卒中や脳梗塞、脳出血に対して有効に働いています」(澤田氏)
飲めば飲むほど効果抜群!とも言えそうな緑茶だが、飲みすぎることで弊害はないのか。大妻女子大学「お茶大学」校長で農学博士の大森正司氏に聞いた。