向谷:一時期、電車の運転もされたとか。

青柳:当時は1年間の見習い期間がありまして、鉄道の職種は全て経験させられたんです。保線区の仕事も、運転士も貨物も電車も全部。特急「しなの」も運転しました。

向谷:すごいな。昨年10月にはJR九州の悲願だった上場も果たされましたね。

青柳:自力で経営できる証しが上場ですから、本州の3社のJRが先に上場し、われわれにとっても宿命みたいなものでした。九州は鉄道事業だけでは大赤字なので、ほかの仕事も始めました。発足時の社員は1万5千人でしたが、鉄道の仕事の雇用は1万2千人分。残り3千人をどうするかが最大の課題で、やれることは何でもやろうと。自分の給料は自分で稼ぐということで、うどん屋、パン屋、居酒屋も始めました。駅ビル、ホテル、マンションなど不動産業にも進出。10年頑張って、マンション事業では九州でナンバー1になった。そんな努力の結果、上場できました。

向谷:昨年は地震で新幹線が脱線するなど、いろんな試練がありました。

青柳:11番目のD&S列車の名前を「かわせみ やませみ」と決めてお披露目をした翌日、熊本地震が起きました。新幹線の脱線はショックでしたが、新幹線を運転再開させようと頑張り、早期に復旧できた。今年の3月4日からは、復興の象徴として熊本から人吉までを「かわせみ やませみ」が元気に走り始めました。

週刊朝日  2017年4月7日号