京大は昨年、「おもろチャレンジ」という制度を始めました。ハーバード大留学などお決まりのコースでなく、海外でやりたいことを学生に提案してもらい、おもろければ奨学金を出す海外渡航支援制度です。
115人が応募し、31人の提案が採択されました。テーマは「エチオピアの職人文化から、現代日本における新しい生き方を探る」など。学生は欧米や発展途上国などへ数カ月間渡航し、学んできました。
大学は社会や世界に開かれた“窓”だと考え、私はWINDOW構想(※)を掲げています。最初のWは、ワイルド&ワイズ。賢いだけでなく、野生的でたくましい学生を育てたいとの思いがあり、おもろチャレンジもそれを実現するプログラムの一つです。
学内だけが学びの場ではない。飲み屋さんも、アルバイト先も、京都など大学がある街も、渡航先の世界各国も、すべてが学びの場なのです。
新しいことが好き、感動を求める、という若者の精神は昔も今も変わりません。 大学というジャングルの中で、たくましい猛獣として育つことを期待しています。
※WINDOW構想:京都大学の改革と将来構想 Wild and Wise(野生的で賢い学生を育てる)、International and Innovative(研究の国際化を進め、イノベーションを創出)、Natural and Noble(自然に親しみ、高い品格と高潔な態度を)、Diverse and Dynamic(多様な文化を受け入れ、躍動を保証しつつ静かで落ち着いた学問の場を)、Original and Optimistic(常識を塗り替える発想を、失敗や批判に楽観的に)、Women and Wish(女性の活躍を支援して希望ある社会を)
※週刊朝日 2017年3月24日号