夫:僕は3歳から漫画を意識しだして、小学校の卒業文集に「将来の夢は漫画家」って書いていた。同時に「漫才師とアメリカの大統領」とも書いたけど。
妻:脈絡ないねえ(笑)。
夫:影響を受けたのは手塚治虫さん、赤塚不二夫さん、湯村輝彦さん……。西家さんは少女漫画でしょ?
妻:そう。萩尾望都先生とか山岸凉子先生とか。私は少女漫画家になりたくて、デッサンや基礎を学ぼうと美大に進んだんです。
夫:そうだったんだ。
妻:でもしりさんのアパートに漫画がいっぱいあって、そこで漫画雑誌「ガロ」や大友克洋さんの存在を初めて知った。「こういう表現があるんだ!」ってカルチャーショックでした。
夫:そうか、漫画が目当てだったんだな(笑)。
妻:一気に世界が広がった感じでしたね。
夫:僕も影響を受けたよ。西家さんはグラムロックやデビッド・ボウイが好きだったんです。「男が化粧するなんて!」って、こっちはこっちでショックを受けた。
――夫は大学卒業後、キリンビールに就職。広告部門でパッケージデザインやマーケティングなどを担当した。
夫:やっぱり広告も好きだったんですよね。そっちはそっちでおもしろかったんです。「漫画家はいつでもなれる」って思ったし。
妻:大学時代から、もうデビューしてたよね。
夫:卒業してすぐに漫画で原稿料をもらったかな。
妻:私も大学時代から描いていたけど、デビューはずっと後です。卒業後はデザイン事務所などで仕事をしながら、しりさんにアシスタントとして雇ってもらってた。
夫:僕は会社の独身寮にいたので、休みの日になると西家さんの家に行って、手伝ってもらって漫画を描いてたんです。小さいコタツで向かい合ってね。
妻:日曜の夕方にサザエさんが終わると「あ~明日会社だ……」って帰ってく。
夫:結婚を決めたのも、どこかで飲んでたときに「どうすんのよ?」って聞かれて、「じゃあ」って感じ。
妻:この人といると、ずっと笑っていられると思ったのが決め手かな。暗い人生はいやだし。