――妻は政治の世界に飛び込むことに、不安はなかったのだろうか?
妻:全然。政治家の奥さんがどういうことをするのかも知らなかったし、それがよかったのかな。それにね、鳩山家には「鳩山の会」があって、そのとき家族が一列に並ぶんです。父親の隣は本来ならば兄、弟の順番。なのに、義弟(故・鳩山邦夫さん)はすでに政治家だったから義父の隣に行くんですよ。
夫:わたしは全然気にしていなかったんだけど。
妻:主人は順番とか序列とか、本当にどうでもいいタイプ。でも私は「それは違うでしょ」って思った。だから、後ろから「ちょっと邦夫ちゃん、ごめんなさいね~」って、主人を義父の横に押し入れて(笑)。
夫:女房はそういうとき、「鳩山家はやっぱり政治のファミリーなんだ」と思うところがあったのでしょう。「うちの主人だって政治ができるぞ!」と、協力してくれたのかな。
妻:そうかもしれない。
――86年の衆院選に、夫は旧北海道4区から自民党公認で出馬し初当選を果たす。39歳のときだ。
夫:たいへんなあいさつ回りも、女房は笑顔でがんばってくれましたからね。
妻:「奥さんは地元では地味な洋服に替える」と教わったけれど、私は気にせず、好きな服装でした。
夫:それで田んぼにズブズブ入って「お願いします!」って。当初、女房はわたし以上に地元では「宇宙人」だったと思います。
妻:でも主人はそういう話を一切私の耳に入れないようにしてくれた。
夫:そのうち、みなさんも女房の裏表のない性格やセンスを理解してくれて、ファンが増えていったんです。
※「鳩山幸、森元首相に『腹黒いから』と言っても怒られなかった」へつづく
※週刊朝日2017年3月3日号より抜粋