今や大学生の2人に1人以上が借りる奨学金。返済に苦しむ人も増えている。政府は返済不要な給付型奨学金を2017年度から試行するなど、新たな動きも起きている。しっかりと情報を集め、充実した学生生活に生かしたい。
「これからの時期の注目は民間団体の奨学金。入学後に申請可能な団体も多い」と話すのは、奨学金アドバイザーの久米忠史さん。
日本学生支援機構(旧日本育英会)によると、奨学金を支給する民間団体などは2013年度に約630あった。
たとえば、森下仁丹奨学会は現在、17年度の奨学生を募集している。採用されると、月3万円が卒業までの最短年限、支給される。大学指定や専攻指定など団体によってさまざまな奨学金があるので、積極的に申し込むとよい。
「大学の学生課などには奨学金情報がたくさんあるが、自分から聞きに行かないと情報が出てこないので、注意しよう」(久米さん)
私大で最近広がるのは、入試前に申し込む予約型奨学金だ。早慶上智や関関同立、青山学院大、立教大、中央大、神奈川大、専修大などが導入した。今年の受験生はもう申し込めないが、来年の受験生は志望校の情報を確認しておこう。
もう一つ注目すべきは、奨学金返済を自治体が肩代わりしてくれる制度だ。
政府が掲げる地方創生の一環で、15年から各地で広がっている。地元の出身者、居住者、就職者などを対象に、自治体が学生の奨学金の一部や全額を返済してくれる。
鳥取県は、県内の製造業や建設業など対象業種に就職し、8年間続けて勤務することなどを条件に、最大216万円を助成する。
鹿児島県は、県出身者で県内居住、県内企業への就職などを条件に、過去1年分の返済額すべてを支援し続けてくれる。16年度の大学生枠は定員を超える応募があったが、社会人枠は応募ゼロ。まだ情報が十分に行き渡っていない自治体もあり、大きなチャンスといえる。
最後に、貸与型の奨学金の返済で苦しまないように、借りる際の注意点を考えたい。