「中断されやすい施設を調べると、急性期病院、老健施設、回復期リハビリ病院が大半を占めました。年1回投与の新薬をこれらの病院やかかりつけ医で投与できれば、他疾患の併発などで容易に病院に行けない患者も含めて、すべての患者に薬物治療をおこなうか継続するかが目指せます」(沖本医師)

 新薬への期待は、「2次骨折の予防」にもある。骨折ドミノについてはすでに触れたが、65~74歳で一度骨折すると、再び骨折する確率は約19倍といわれる。しかも、1年以内など早期に2次骨折を起こす人が多い。しかし、新薬を大腿骨近位部骨折手術の後90日以内に投与すると、新しい骨折の発生を抑え、その後の状態が良くなることが研究で明らかになっている。従来の薬にはなかったメリットだ。

 ただ、年1回投与と間隔が長くなるため、次の投与を忘れて治療が途切れないように、医療機関がチームとなって患者をサポートする必要がある。

「ビスホスホネート薬全体に言えることですが、腎機能の低下している患者には使用が難しいです」(同)

 同じくビスホスホネート薬全体の副作用として、「顎骨(がっこつ)壊死」がある。あごの骨の組織や細胞が局所的に腐った状態になる。頻度はまれとはいえ、歯科医師との連携が欠かせない。

 また、投与後の発熱の頻度の高さにも気をつけたい。投与後3日以内に発熱し、比較的短期間で治る。2回目以降は起こりにくいので、最初に気をつければ大きな問題は起こらないと考えられる。

週刊朝日 2017年2月3日号より抜粋