もぐら製作所モーレワークス(東京都立川市)は15年11月から、「スマホ封印太郎」(税込み880円)というグッズを売る。封筒のような形の白い包み紙にスマホを入れてシールで封をして、使えなくする。商品に宣誓書がついており、宣誓・開封の日や、署名の欄がある。

 たとえば、子どもに対して「志望校合格までスマホを触らない」と宣誓させて封印する。アナログなやり方ではあるが、家族一同が見守るなかでの宣誓ならば、本人のがんばりにつながるかもしれない。

 同社の平林知紘代表は、製品化の経緯をこう話す。

「スマホの利用制限アプリはこれまでもありましたが、物理的に包んで遠ざけるグッズはありませんでした。私自身もかつてスマホの利用実態を調べたことがありますが、若い人は想像以上にスマホを手放せないと実感しました。スマホの時間を別のことに充てられたら、人生が変わる子もいるかもしれない。そんな思いから、製品化に踏み切りました」

 しかし、いざグッズを作ろうとしても、先立つ資金が足りなかった。そこでネット上のクラウドファンディングを通じて、不足分の30万円の寄付を募った。商品開発の趣旨に賛同してくれる人がいて、目標額が集まり、何とか完成にこぎ着けた。

 当初は通販サイトAmazonで売り始めたが、昨年からは東急ハンズにも置いている。複数のスマホやタブレット端末も入れられる、大判の「スマホ封印太郎BIG」(税込み1310円)も昨年に発売した。

受験生本人より、親御さんが買う場合が多いようです。さすがに、高校生以上だと親が子どものスマホを取り上げるのは難しい。スマホ断ちを子どもに勧めるきっかけづくりとして、この商品が利用されているようです」(平林代表)

 悩ましいのは、スマホやタブレットなど情報端末の利用は学校など教育現場でも広がっていることだ。単に使わせないことは難しいかもしれない。受験期は、上手なつきあい方を身につけさせるきっかけにできるとよさそうだ。

 情報教育に詳しい早稲田大大学院客員教授(同高等学院教諭)の武沢護氏はこう指摘する。

「近年は『スタディプラス』などのSNSを活用して、同じ志望校の受験生がどんな勉強をしているかを知り、自分の勉強に役立てる人も少なくないようです」

 さらに、こう続ける。

「受験勉強は、最終的に生徒の自己管理に委ねられます。スマホに依存せずに自己管理する姿勢は、受験生だけでなく、大学生や社会人になってからも求められ続けること。アプリの有効活用や、自分の意思でスマホを物理的に遠ざけるなど、受験生自身で自律することが大事です」

 難しいことだけれど、それをやるしかない。自分の目標を遂げるために。

 受験生のみなさん、がんばれ。

週刊朝日  2017年1月27日号

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